大切な人を亡くした後、私たちはさまざまな思いに囲まれ、混乱した状態に陥ります。
このような悲嘆の反応は世界共通のものですが、その継続期間や反応の強さは、社会的・文化的背景、宗教観の違いによって異なります。
病気の場合、家族が患者の回復が不可能だと感じた時から、死への不安に伴う悲しみの反応が現れることがあります。
しかし、本来の悲嘆は死別直後に始まります。
特に死別直後は、短期間の無感覚、衝撃、動揺などを呈する急性の反応がみられ、これを急性悲嘆と呼びます。
突然の死や、予期できなかった事件・事故などの直後に現れやすい急性の反応には、次のようなものがあります。
□起きた現実に圧倒され、ため息ばかりつく(過換気症候群に至る場合もある)
□脱力感・力がはいらない
□物事に集中できない・エネルギーの欠乏様の脱力感
□どこか呆然としている
□四肢の霊感・立ち眩み・胸の圧迫感を訴える
□口が渇く
□のどが詰まるような感じがする
□頻脈、頭痛などを訴える
□音に対して敏感になる
□表情が硬くなる
□すすり泣き・大泣き・過剰ともとれる感情表出がみられる
□胃が重い。空腹感がない、食欲の不振などがあり、体重減少にもつながる
□不眠を訴える
□一時期、健忘に近いじょうたいになる
このような急性悲嘆は、悲嘆の一表現と気付かれず、慌ただしい日々の出来事に埋没して、見過ごされてしまうケースがあるものです。