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死別の悲しみに医療ができること
家族や友人との死別は、言葉では言い表せないほどの深い悲しみを伴います。医療の力だけでは、この悲しみを癒すことはできません。
死別後に遺族に現れる可能性のある症状には、うつ病、適応障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、アルコール依存症などがあり、時に複数の症状が重複して現れることもあります。
これらの「複雑性悲嘆」に対して、薬物療法は効果が期待できないことが分かっています。
医療機関ができるのは、併発したうつ病やPTSDの治療を優先的に行うことです。一方で、複雑性悲嘆のみの場合は、薬物治療よりも心理療法が推奨されます。
遺族の方に伝えたいのは、すぐに専門家の治療を受けるのではなく、まずは「一定期間、経過を慎重に見守ること」が大切だということです。
時間をかけて、自然な形で悲しみを表出し、癒していくプロセスが重要なのです。医療の力も必要ですが、何より大切なのは、家族や友人、そして自分自身との対話を重ね、悲しみと向き合っていくことだと考えます。
